すっきりとした残響音が美しく、音だけなら国内トップレベルで大好きなホール。ただ、見切れ席が異常に多く、視界と音を両取りできる座席が少ないのが難点です……。2階席センターエリア以外は実際に座ってみたので、主にオーケストラ公演での聞こえ方や見え方について書いていきます。座席選びの参考になれば幸いです!
ホール概要
シューボックス型のクラシック音楽専用ホール。木の内装と、ピラミッド型の天井が特徴です。あまり大きくないホール(客席数:1632席)のため、16型以上の大編成のオーケストラだとやや音が飽和気味になることも有りますが、それはそれで迫力があって好きです。小編成のアンサンブルやソロなども気持ちよく聞くことができます。
視界と響きが両方とも良い席がなかなか無いのが玉に瑕。視界を補うべく首や胴体をひねらなければならず、身体が痛くなる座席が多すぎなのですよね……。そして、身体が痛くならない座席はだいたい音がいまいち……。そもそも椅子が固いので基本的に腰と臀部が辛い……。でも音が良いので大好きなホールなのです(ジレンマ)。
見え方は公式サイトをご参照ください。2階3階バルコニーの2列目あたりは、この写真よりも見えないぐらいの覚悟でチケットを取った方がよいです……。

参考に在京オーケストラの座席表のリンクも置いておきます。東京シティフィルは細やかなエリア分けに好感が持てますね。
1階席
S席がメインのこのエリア。東京フィルやシティフィルでひとつ下のランクに設定されているサイドや後方は2階席が被るので、東京交響楽団のように全部同じランクだったら避けた方が良いエリアですね。
オーケストラのような大きな編成の場合は、張り出し舞台となるため、3列目が最前列になることに要注意。これを知らずに(知らされずに?)チケットを取る方が結構多いみたいで、「えっ3列目なのに最前じゃん!」みたいな声をよく聞きます。
当然音は近く、とても臨場感があって良いです。ステージ付近であっても、このホール特有のすっきりとした素直な残響音も楽しめるため、聴くことを重視するのであればとても良いエリアです。
注意点としては、傾斜がかなりなだらかなので、前に大きい人が座ると小柄族はかなり厳しいですし、後ろの方の列でも管楽器奏者は見えにくいです。自分はそれほど大きくない人間なので、1階席なら最前列一択でございます。ステージの高さが低めなので、最前列でもそれなりに見やすいですが、首はまあまあ痛くなります。木管はほとんど見えませんが、距離が近いためか、音は意外にもよく聞こえます。
上手側(R側)は、最前列であっても、オーケストラの協奏曲だとソリストが指揮者の陰に隠れて見えにくいことがあるので注意。
ちなみに、来賓と思しき方々は、1階の中央付近(13列=真ん中の通路の後ろのブロックの最前列)に座っていることが多い印象です。ちょうど東京フィル座席表のSS席周辺の非買のエリアあたりですね。
2階センター
序盤で非常に申し訳ありません……。このエリアはどこのオーケストラでもS席設定ですが、ここだけは取ったことがありません。3階席が屋根となって被っているうえにステージから遠いので、音が届きにくそうな感じがして取る気にならないのですよね……。これならすこし安い3階センターを取りたい派です。
実際、あまり良い噂を聞いたことがありませんが、オペラシティでは数少ない、ステージ全体を見渡せる席なので、このことに強いこだわりがある方であれば一考の余地アリだと思います。
2階バルコニー席
ステージサイドの座席(1~22番あたり)であれば、真下を見下ろす形になるので、首を痛めることなく鑑賞できます(重要)。管楽器奏者や指揮者の様子もつぶさに観察できます。ただし、手前側はやや見切れるため、公式の写真を参考に検討してみてください。
音は迫力のある直接音がメイン。ステージから離れた座席だと、直接音がまろやかになり、クリアで心地よい残響音も楽しめます。が、そのあたりの座席は、常に首や身体を捻ってステージを見ることになるので、身体への負荷が大きいです。身体の辛さとのトレードオフ。
また、バルコニー席の2列目は、1列目よりもかなり見切れが多くなるのでそれなりの覚悟が必要です。
自分は指揮者目当てでステージサイド1列目(R2・L2扉付近)を取ることも多いです。首が痛くないのに音に満足できる数少ないエリアです。直接音が好きな方にはおすすめ。
2階P席
どこのオーケストラでも最安設定ですが、直接音好きでコスパ重視の方におすすめしたいエリアです。
おなじ安席目当てで3階バルコニー2列目を取るぐらいだったら、P席が個人的には良いと思っています。ほとんどの公演でP席と3階バルコニー席は同じ価格ですし。サントリーホールのP席についてはわりとボロクソに書いていますが、オペラシティのP席はひと味違いました!
音は当然直接音多めですが、反響板に当たった音がまろやかに降り注いでくる印象。
重要なポイントは、管楽器奏者の頭上に座席があるためか、管楽器の音がまろやかになるため、サントリーホールのように、普段聞こえる音と前後が逆という違和感がかなり薄れる、ということ。ピアノ協奏曲もかなり良いバランスで聴けました。
視界も3階バルコニー(特に2列目)に比べてかなりマシです。まず絶対に指揮者が見えますからね。目をつぶって聴く派だったら関係ないですが、3階バルコニー2列目で、指揮者が見えないというのは相当キツかったです……。
1列しかないので、前も後ろも気にならないのもポイント高し。26席しかないため、若干競争率が高いことがネックですね……。
3階センター
ほとんどのオーケストラでA席設定のこのエリア。ステージ全体が見やすい(首が痛くならない!)ですし、実際に座ってみると、思っていたよりもステージが近いです。が、やっぱりやや音が遠い印象。残響音、ホールトーンが大好物、ということであれば、オペラシティならではのクリアな響きを楽しむことができるため、良いエリアだと思います。
演奏者の表情は何となく見えます(わたしは両目矯正1.5です)が、細かく見たい方はオペラグラスがあると安心です。
3階バルコニー席
どこのオーケストラでも、だいたい最安設定のこのエリア。音は悪くないのですが、とにかく見切れが多いです……。
コスパだけを考えるなら、この3階バルコニーのステージサイド1列目はおすすめ出来ます。見切れは多いけれど、ステージの半分以上は見えますし、何より音が良いです。ある程度ステージからの高さがあるので、2階バルコニー席よりも直接音がややマイルドになり、とても聴きやすいと思います。
2列目は冗談ではなく!本当に何も見えません!(ステージの半分以下、指揮者もちらちら見えるかな?ぐらいのレベル)ので、よっぽどのことが無ければ避けます。これは新国立劇場の音のみZ席の方がまだマシなレベル。
ステージから離れたところは、公式サイトの写真を見てびびっちゃって買えていません……。目をつぶって聴くような人には良いかもしれませんネ……。
おすすめ座席はここだ!
いろいろと書いてきましたが、それぞれの座席に良いところと悪いところがあるので、最終的にはどの席が良いかは各々の好みです。参考までに、個人的な目的別のおすすめ座席を書いて終わります。
東京芸術劇場やサントリーホールの座席についての記事でも同じことを書いていますが、好みの座席を見つけるためには、やっぱりいろいろと試してみるのが一番です。そのヒントとなるのが、開演前に団員さんが音出しをしている時間。ぜひ早めに入場して、ホール内をしずか~に歩いてみながら、音の聞こえ方の違いを体感してみましょう。
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